活躍する電気技術者達

顔の見える地元のお客様と仕事をする喜び
地域で信頼される電気技術者を目指す

活躍する電気技術者達
  • 徳永 忠臣さん
    徳永機電工業
  • <保有資格>
  • 第3種電気主任技術者(1996年度)
    第1種電気工事士(2001年度) 
    第2種電気工事士(1995年度)

――電気技術者として、日頃どのような仕事に携わっているのでしょうか?

現在、父と二人三脚で電気工事会社を営んでおり、地元の長崎県大村市を中心に小規模な電気設備の工事や設計、施工に携わっています。新築や改築など木造住宅を対象にした電気工事が中心で、具体的には現地調査から始まり、各種電気機器の配置場所を確認しています。使用するブレーカーや電線などの仕様を決めて図面と見積書を作成し、お客様のご了解をいただいた後に工事開始となります。工事では、電力会社から供給される電気を住宅内に引き込み、梁(はり)や内壁部に電線を配線して照明設備等を使えるようにします。その他、太陽光発電パネルの設置、一般家庭や店舗におけるコンセントおよび照明機器の増設など、人々の生活に密着した様々な電気工事に携わっています。また最近では、カーネーションのハウス栽培施設で工事を行いました。長崎県大村市は園芸農業としてカーネーションの栽培も盛んな地域で、今回は植物の生育に重要な二酸化炭素を発生させて光合成を促進する炭酸ガス発生装置への配線工事を実施しました。このような栽培施設では電灯、換気扇、降雨警報器などの電気設備が使われています。地元の園芸農家から工事の依頼があれば即時対応しています。

―――以前は大手の電気工事会社にお勤めでした。仕事内容の違いは?

地元高校の電気科を卒業後、福岡市内にある大手電気工事会社に勤めました。この会社では新築マンションに特化した仕事が多く、主に電気工事の現場代理人としての経験を積みました。電気工事にはじまり、防災工事、避雷針の設置工事、照明工事などを依頼する協力会社を決定するほか、作業工程のチェックや技術者の人員配置など工事全体の管理業務を行いました。打ち合わせの相手はプロの技術者ばかりなので、専門性を高めることができました。
一方、現在の仕事内容は多種多様にわたっています。小規模の案件が多いのですが、過去にはピザ窯から排出される高温の空気の排出で相談を受けたことがあります。規模が小さいとはいえ、提案力が求められる案件で、機器メーカーと相談しながら換気扇の取り付け位置など施工方法を工夫することでお客様の要望に対応しました。これまでの知識や経験を活かしながら一つ一つの現場に取り組んでいます。

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――電気技術者として、どのようにして技術力を高めてきましたか?

高校在学中に第2種電気工事士と第3種電気主任技術者の資格を取得しました。そして知識や技術力を高める目的で、福岡の会社に勤めていた時に第1種電気工事士の資格に挑戦し、合格することができました。また電気主任技術者の資格取得は大きなプラスになりました。福岡勤務時代に大手の物件を手がけることになったわけですが、この資格を取得していたことで元請け企業から信頼を得ることができました。また、様々なトラブルに対応できる能力も身につきました。ある家庭で何度もブレーカーが落ちる出来事があり、分電盤で絶縁測定などを行っても全く異常が見つからず原因がわからない。そこで時間をかけて一つ一つ検査作業を行う中で、冷蔵庫のリレー回路の二次側で漏電が起こっていることが判明しました。電気機器に関する知識を深めていたことが、原因究明につながったと思います。そのほか電気材料メーカーが実施する新製品発表会にも出向くようにしています。技術の進歩が早く、メーカーから1年ごとに新製品が発表されます。最近では都市部で普及しつつある地震の振動を感知してブレーカーが落ちるシステムについて学ぶなど情報収集でスキルアップにつなげています。

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――地域に密着した仕事が多いようですが、どのようなところにやりがいを感じますか?

一般家庭からの電気工事依頼が多いですが、お客様から相談を受けた困りごとに対して解決策を見出し感謝の言葉を頂いた時にやりがいを感じます。また突発的で緊急を要する工事を対応をした時も同様です。電気は見えないものなので、例えば通電や漏電の状態についても一般の方々にとっては非常にわかりにくいと思います。そういった中で電気技術者は、お客様に細かく説明して「安心」と「安全」を提供する立場にあります。電気の専門家として頼りにされます。そのほか、夏祭りやイベントなどで電気工事を行うこともありますが、その時は設営するだけではなく、設営完了後には地元の方々と一緒に楽しませていただき、人と人とのつながりも体感しながら地域コミュニティに溶け込んで仕事をしている喜びもあります。

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――今後の目標は?

後進の育成と、工事内容の拡大です。若手育成の活動の一つとして、地元の工業高校に電気工事の出前授業を行い、工事士としての仕事内容について理解を深めてもらっています。また技能伝承の点からは、技能競技大会に参加する若手技術者に対して配管の曲げ方や配線方法のコツの指導も行っています。言葉で説明が難しい技能については、同じ作業を繰り返して行うことで技能を感覚的に身につけてもらうことを重点に指導しており、地元での活躍を期待しています。一方、工事内容の拡大ですが、今後は高圧の電気を必要とする工場や施設のほか、防災関連設備などを対象にした工事にも携わってみたいと考えています。これらの案件に対処できるよう技術力を高めると同時に、あらゆる電気工事に対応でき、地域の人から信頼される技術者になりたいと思います。